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コンプライアンス経営の推進

コンプライアンスが担保されていなければ、どんなに良い成果、実績が得られても、社会の中で企業活動を継続していくことはできません。グローバルに事業を展開する製薬企業として、コンプライアンスを基盤とした経営を行います。

基本的な考え方

第一三共グループは、コア・バリューの1つに「Integrity」を掲げ、コンプライアンスを意思決定や価値判断の基準とし、グローバルな企業活動において、法令およびルール等の遵守はもちろんのこと、生命関連企業としてふさわしい高い倫理観と社会的良識をもって行動するコンプライアンス経営を実践しています。
そのために、当社グループ共通の「第一三共グループ企業行動憲章」および「第一三共グループ個人行動原則」を定めるとともに、これらの精神に基づいた具体的な社内規程として、当社およびグループ会社は、それぞれの地域における社会的要請に応じたコンプライアンス行動基準を策定し、役員および社員に周知徹底しています。

CSRハイライト

私たちのCSR課題への取り組み

コンプライアンス体制の継続的運用

当社では、総務本部長がコンプライアンス・オフィサーに任命され、当社のコンプライアンス行動基準や関連規程、年度目標等のコンプライアンス・プログラムを統括するとともに、当社のコンプライアンスに関する審議・決定機関である「企業倫理委員会」の委員長をつとめています。企業倫理委員会は、社内委員12名のほかに、委員会運営の透明性、信頼性を確保するために、社外弁護士1名を加えた計13名で構成され、原則として年2回開催しています。オブザーバーとして常勤監査役も参加しています。
国内外グループ会社においても、コンプライアンス・オフィサーなどが任命され、各社のコンプライアンスを推進しています。
また、当社グループのグローバル・コンプライアンス体制の実効性を確保するため「企業倫理委員会」の諮問機関として「グローバル・コンプライアンス諮問委員会」を設置し、欧米グループ会社のコンプライアンス・オフィサーを常任委員として、グローバル・ポリシーや当社グループの年度目標などを検討しています。
「企業倫理委員会」、「グローバル・コンプライアンス諮問委員会」の審議内容については「年度コンプライアンス推進活動」としてCEO、COOおよび取締役会に報告しています。

グローバル・マーケティング・コード・オブ・コンダクトの運用

当社およびグループ会社は、IFPMA Code of Practice(国際製薬団体連合会コード、以下「IFPMA Code」)またはIFPMA Codeを踏まえた各国・各地域の業界コードに準拠した自社コードの制定に加えて、医療関係者、医療機関および患者団体との交流ならびに医薬品のプロモーションにおける高い規範を保つことを目的に、当社グループ共通のポリシーとして2016年10月1日にグローバル・マーケティング・コード・オブ・コンダクトを制定し、2016年度中に国内外のグループ会社へ展開を完了し、運用を開始しました。
また2016年度から2017年度にかけては、当社の法務部員がアジア地域の子会社を訪問し、各社のコンプラインス・オフィサーおよび従業員との対話を通じて、コードの遵守状況等を確認しました。

第一三共グループ グローバル・マーケティング・コード(参考訳付き)

第一三共グループ個人行動原則の周知徹底

近年、企業がグローバルな活動を誠実に行うためには、組織に属する個人の行動にかかわるグローバルなポリシーの制定と、その遵守および社外に対する宣言が求められています。その背景を踏まえ、当社は、「第一三共グループ企業行動憲章」を補完する位置付けで、役員および社員の行動面における当社グループ共通のポリシーである「第一三共グループ個人行動原則」を制定し、2015年4月から国内外のグループ会社で運用しています。
「第一三共グループ個人行動原則」には、領域別原則として、「1.腐敗行為および贈賄の防止」、「2.利益相反の回避」、「3.インサイダー取引の禁止」を定めています。当該ポリシーのグループ全社員による理解促進と遵守のため、国内では、各社各部所における対話式研修のテーマとして当該ポリシーを取り上げ、定期的にeラーニングを実施しています。
海外グループ会社においても各社を訪問し、コンプラインス・オフィサーとの対話を通じて、当該ポリシーの浸透状況について確認しています。

第一三共グループ個人行動原則(参考訳付き)

コンプライアンス研修・意識啓発活動

コンプライアンス推進には、コンプライアンス研修や教育・啓発活動の継続的な実施が不可欠です。
2016年度より「第一三共グループ個人行動原則」の理解促進および高い倫理観と風通しの良い職場風土の醸成のため、国内グループ各社各部所において少人数グループによる対話式研修を実施しています。
また、当社取締役、監査役、執行役員、国内グループ会社の社長およびコンプライアンス・オフィサー等を対象に、定期的に外部講師を招いたコンプライアンス研修を実施しています。また、国内グループの新入社員、新任マネジメント職等、階層別にも毎年コンプライアンス研修を実施しています。その他、社員一人ひとりに対しては、eラーニングの実施、社内サイトにおける啓発情報の発信、各部所に対するコンプライアンス研修DVDの貸出し等にも積極的に取り組みコンプライアンス意識の向上に努めています。
海外グループ各社においても社員に対し、継続的にケーススタディーやeラーニング研修を実施しています。

コンプライアンス意識調査の実施

当社および国内グループの役員・従業員(派遣社員・契約社員を含む)約9,000名を対象としたコンプライアンス意識調査を実施し、2017年度の回答率は、グループ全体で96.7%でした。本調査において、当社グループにおける企業理念、コンプライアンス関連規範等の理解度やコンプライアンスの実践状況、社内体制の整備状況などを分析し、グループ全体の強みと課題を把握しました。また、本調査の結果を企業倫理委員会やCEOおよびCOOに報告したほか、各ユニット長および国内グループ会社社長とコンプライアンス推進担当者に分析結果をフィードバックし、次年度のコンプライアンス推進活動の基礎情報として活用しています。

通報制度の活用

当社では、内部通報窓口を法務部および社外弁護士事務所に設置し、当社および国内グループ会社にかかわる法令違反やハラスメント等、内部問題に関する通報を受け付け、迅速かつ適切に対処することにより、被害発生・拡大防止に努めています。人事部、各事業場および社外には、ハラスメント相談窓口も設置しています。
国内グループ会社においても、それぞれ社内に専用電話やeメール等による内部通報窓口を設置し、運用しています。
当社および国内グループ会社は、通報者の秘密の保持、通報者に対する不利益な取扱いの禁止、匿名通報可、通報者自らが不正に関与していた場合、通報したことを考慮し、処分を軽減することがあることを社内規程にも明記しています。
また、当社ウェブサイト上において、社外の方からの通報も受け付けています。
海外グループ会社では、各国や地域の状況に応じて通報制度を構築・運用しています。たとえば、第一三共Inc. では、コンプライアンスに関する通報を24時間受け付ける通報窓口を社外に設置しており、また、第一三共ヨーロッパでは、同社傘下の欧州各国のグループ会社を含む通報を受け付ける社外窓口を設置し、各国語で対応しています。いずれも、ウェブサイト上において、社外の方からの通報も受け付けています。

個人情報保護法、マイナンバー法、情報セキュリティの徹底への対応

個人情報は、企業の事業活動に不可欠な情報ですが、その性質上、誤った取り扱いがなされると、個人に取り返しのつかない被害を及ぼすおそれがあることから、当社および国内グループ会社では、情報管理や個人情報保護に関する社内規程を整備し、情報の安全管理を徹底しています。それとともに、当社および国内グループ会社の情報管理担当を対象とした改正個人情報保護法の説明会を開催する等、個人情報を適正に取り扱うための施策を講じています。また、2015年10月に施行された、いわゆる「マイナンバー法」に対しては、定期的に委託先のマイナンバーの安全管理状況を評価するとともに、当社および国内グループ会社の従業員を対象としたeラーニングを実施する等、適切に対応しています。
一方、情報セキュリティについては、個人情報保護やマイナンバーの観点に限らず情報やICTを取り扱う従業員ひとりひとりの意識が重要です。当社および国内グループ会社では全従業員を対象に情報セキュリティのeラーニングと標的型メールを含む不審なメールへの対応訓練を実施しています。また、社員が会社貸与のパソコン等を社外に持ち出す場合は、紛失・盗難などがないよう管理を徹底させるとともに、緊急連絡カードを携行させ、万一の場合の連絡ルートを明確にしています。
また、会社貸与のパソコン等には、情報漏えいの未然防止のため、ハードディスクドライブ上においてセキュリティ対策を講じています。コンピュータウイルスについてはパソコン等やサーバへの感染を防御する施策などに加え、不正なWebサイトへの通信を検出し遮断する仕組みや悪意のある攻撃者からの操作を検出する仕組みを導入するなど、近年増大しているサイバー攻撃の脅威に対応するため、継続的に対策を実施しています。

腐敗防止への取り組み

贈賄等に関する規制は世界各国で年々強化されており、グローバルに事業を展開する企業にとっては、贈賄および腐敗防止に対する取り組みがますます重要になっています。
当社グループでは、贈賄および腐敗行為の防止については、「第一三共グループ個人行動原則」の領域別原則の一つとしても明記していますが、一層の徹底を図るため、公務員や医療関係者に対する現金払いの禁止等、より詳細な内容を定める「第一三共グループグローバル贈賄及び腐敗防止ポリシー」を2017年10月に新たに制定しました。
これに伴い、当社およびグループ会社の社内規程や関連業務の見直しを行い、贈賄および腐敗行為の防止に関する研修を実施しました。
当社グループでは、今後も贈賄および腐敗行為の防止について定期的に研修を行い、さらに社内体制の強化に取り組んでいきます。特に贈賄等のリスクの高い国におけるビジネスについては、重点的に対策を講じています(以下VOICE参照)。

第一三共グループグローバル贈賄及び腐敗防止ポリシー(参考訳付き)(260KB)

【VOICE】高いコンプライアンス意識の醸成を目指して

畠山 直樹第一三共株式会社
総務本部
法務部
コンプライアンスグループ長
畠山 直樹

法務部コンプライアンスグループは、当社グループ全体のコンプライアンスを推進するための活動を行っています。2017年10月に制定された「第一三共グループグローバル贈賄及び腐敗防止ポリシー」を展開するにあたり、贈賄等のリスクが高い国のグループ会社に対しては、医療関係者に対するギフトや現金による支払いに関する調査を行い、不正が疑われる事例がないか確認し、必要に応じて適切な指導をしています。また各海外グループ会社には贈賄及び腐敗防止に関する研修資材も配布し、従業員の理解度を上げるための支援を行っています。このような取り組みを通じて、第一三共グループの高いコンプライアンス意識の醸成につなげていきます。

CSR調達

・調達におけるコンプライアンスの推進

当社グループでは、調達に関する最上位ポリシーである「グローバル調達ポリシー」(基本方針は下記参照)を2017年10月に改正し、海外を含む全てのグループ会社が6項目(①倫理、②労働、③安全衛生、④環境、⑤最適な品質とコストおよび安定供給の確保、⑥マネジメントシステム)を含むSupplier Code of Conduct(サプライヤー行動規範)を策定することを明記し、当社グループ全体としてCSR調達の推進を強化することとしました。

当社および国内グループ会社は、調達ミッションの一つとして「コンプライアンス」を掲げ、調達にかかわる関連法令の遵守、CSR調達の推進等に努めています。中でも下請法に関しては、各部門に下請法担当者を任命し、研修会等を通じてその徹底に取り組んでいます。

・CSR調達基準の整備

購買取引先に対しては企業の社会的責任を踏まえた行動を促すことを目的とした「CSR調達基準」(下記参照)を整備し、新規購買取引先選定時のチェックシート、および、定期的なCSR自己点検を通じてその遵守状況を把握し、必要な改善を促しています。
これら調達関連規程をもとに、調達プロセスの明確化の徹底、最適調達の実現に取り組んでいます。

CSR調達基準

これまで取り組みを進めてきたCSR自己点検調査は、海外のグループ会社を含めた当社グループ全体の活動として位置づけ、また、原材料のみならず間接材も含めた広義の取引先を対象として新たに展開することとしました。2017年度は、直接材/間接材それぞれ上位100社を対象としてCSR自己点検調査を実施しました。
また、当社および国内グループ会社は、上記に加え、重要な直接材に関しては二次サプライヤーに対しても調査を展開しました。
調査は、(1)倫理観に基づいた誠実な事業活動、(2)人権尊重と労働、(3)安全衛生、(4)環境経営の推進、(5)最適な品質とコストおよび安定供給の確保、(6)マネジメントシステムという6つの視点から構成され、その自己点検調査結果に基づき、取引先とともに必要な改善活動に取り組んで参ります。
これからも「パートナー(取引先)とともに歩むCSR調達活動」をコンセプトに、高品質、安定供給、低コストに加え、持続可能性にも配慮し、CSR調達を推進して参ります。
また、「環境負荷低減に向けたサプライヤーとの協働」の一環として、主要サプライヤーにおいて、CO2排出量・水使用量を把握するとともに、CO2削減目標を設定していないサプライヤーについては、改善の機会として 目標設定への協力をお願いしています。この取り組みは、SBT(Science Based Targets)※1の目標設定に基づいて実施しています。

  • ※1パリ協定の目標である世界の平均気温情報「2℃未満」の達成に向け、科学的根拠と整合したCO2削減目標を企業に求める国際的イニシアチブ

企業活動の透明性の確保への取り組み

当社グループは、日本国内では当社の医療機関等および患者団体との関係の透明性に関する基本方針に基づき、支払いに関する情報をコーポレートウェブサイトにて公開しています。米国では「サンシャイン条項」に則り、欧州では欧州製薬団体連合会(EFPIA)の行動規範に基づき、医療機関等への支払い情報を暦年で開示しています。韓国やブラジルの一部でも透明性確保が求められており、グループ全体で対応を行っています。

研究支援への取り組み

臨床研究支援については、研究者が当社のコーポレートウェブサイトを通じて直接申請する“第一三共研究者主導臨床研究公募プログラム”を2017年7月に導入しました。また、2018年4月より臨床研究法が施行され、臨床研究の責任の主体が研究責任医師になることから、現在、研究責任医師および研究事務局への臨床研究法の啓発を実施しています。
また、医学・薬学をはじめとするライフサイエンスの発展に寄与することを目的として実施する奨学寄付金については、公平、透明性を担保するため、大学をはじめとする研究機関が、当社のコーポレートウェブサイトを通じて直接申請する“第一三共奨学寄付プログラム”を2016年4月から導入しています。

研究開発倫理

企業の経済活動において、社会的な信頼を獲得し続けることは重要なことです。特に、生命関連産業においては、生命に対する崇高な倫理観が強く求められています。2016年、研究開発本部では“Ethics and Patient Safety First(倫理と患者さんの安全を科学的興味やビジネスより優先します)”をGlobal RD unit Core Valuesとして掲げ、その理念のもとに研究開発活動を行っています。私たちは、人々の健康と生命の安全に深く関与していることを自覚し、生命倫理に基づく価値観の醸成に取り組んでいます。以下に当社研究開発本部における活動を紹介します。

・ヒト由来試料を用いる研究における倫理的配慮

臨床試験を実施する前には、ヒト由来試料(組織、細胞、血液、遺伝子など)・情報を用いて、薬剤の薬理効果や副作用を予測・推定する必要があります。また、臨床試験における早期の有効性判定、無益な治療の回避を目的にがん領域を中心に臨床検体を用いるバイオマーカー研究が加速しています 。さらに、近年では倫理的な課題をはらんでいるES細胞やiPS細胞をはじめとしたヒト由来の細胞を用いた基礎研究、再生医療研究も飛躍的に発展しています。そこで当社は、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」など国の指針に準拠した「ヒト試料・情報等利用研究に関する倫理細則」を制定しています。併せて外部有識者を交えた「ヒト試料・情報等利用研究に関する倫理審査委員会」を設置し、研究の必要性、有用性について客観的に確認し、試料・情報提供者の人権や尊厳を尊重するとともにその背景にある倫理的な課題を十分に議論した上で研究を実施しています。また、事前の自由意思に基づく同意取得はもとより、遺伝情報を含む改正個人情報保護法への対応も実施し、必要な研究課題についてはホームページ上で公開を開始しました。以上の研究を行う従事者には一般財団法人 公正研究推進協会(APRIN)の提供する研究倫理教育などの受講を進めています。

・動物実験における倫理的配慮

動物実験は、動物愛護の観点に配慮しつつ、科学的観点に基づいて適正に実施することが求められています。 当社は、「動物の愛護及び管理に関する法律」や「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針」などの国の法律・指針に準拠した「動物実験に関する細則」を制定し、3Rs※1の推進に努めています。動物実験は事前に動物実験委員会の審査を経て承認された動物実験計画のみを実施し、動物実験従事者には毎年教育訓練を行っています。国の法律・指針への適合性について年1回以上自ら点検・確認するとともに外部機関による評価認証も受けています。葛西研究開発センターはヒューマンサイエンス振興財団内動物実験実施施設認証センターの認証を、品川研究開発センターはAAALAC International※2(国際実験動物ケア評価認証協会)の認証(Full Accreditation)をそれぞれ取得・更新しました。

  • ※1Replacement(代替試験法の利用)、Reduction(実験動物数の削減)およびRefinement(苦痛の軽減)
  • ※2the Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International の略称

・3Rsについて

3Rsについては動物実験実施前に動物実験委員会において慎重に審査し、それぞれ以下のような取り組みを行なっています。

1)Replacement
動物を用いない完全置換および系統発生学的に下位の動物に置換する部分置換による代替法がないかを調査し、代替不可能との結論に至った実験のみ動物実験を実施しています。

2)Reduction
実験目的に対して、統計学的な根拠を基に最少限必要な匹数を設定して使用する匹数を決定しています。実験デザインにより予備動物、除外動物が必要な場合も、それが科学的に必要であることが正当化されない限り匹数を追加することは認めません。

3)Refinement
動物実験で実施する実験手技については、実験目的達成のため必要最少限の苦痛であることが承認された場合のみ実施可能としています。全ての実験申請において実験のエンドポイントとは別に、人道的エンドポイント※3について検討することを必須としています。

これら3Rsの理念および考え方は厳しくなる傾向を踏まえ、定期的に社外講師を招いて講演を行い、実験者に対し、常に社会的に許容される最新の動物実験倫理について教育を行なっています。また実験手技については公益社団法人 日本実験動物協会より指導員資格を認定された講師が技術研修を行なっています。

  • ※3実験動物に過度な苦痛を与えないための実験を中断・中止する基準。

・バイオハザードマテリアル・遺伝子組換え生物の取り扱い

感染症予防法、家畜伝染病予防法など病原体および病原体を含む材料にかかわる法令を遵守し、安全に取り扱うため、「バイオセーフティに関する細則」を制定しています。バイオセーフティ委員会は、バイオハザードマテリアルの取り扱いに関する適正な運用ルールを決定しています。また、カルタヘナ法※4に則って遺伝子組換え生物を適正に取り扱うため、「遺伝子組換え実験に関する細則」を制定しています。遺伝子組換え実験安全委員会は、実験がカルタヘナ法に則った計画であるかを事前に確認しています。
また、一般財団法人 公正研究推進協会(APRIN)の提供する遺伝子・バイオセーフティーに関する教育や研究倫理教育など従事者研修の機会等を通じ、実験事故の未然防止に努めています。

  • ※4遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律

・遺伝資源の公正な利用

生物多様性の保全、生物多様性の構成要素の持続可能な利用、および遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分について、生物多様性条約等に則って対応しています。

・臨床試験における倫理

当社が国内外で実施する臨床試験は、人を対象とする医学研究に関する倫理規範を定めたヘルシンキ宣言、ICH※5-GCP※6および各国の薬事規制等を遵守して実施され、被験者の人権、個人情報の保護、生命の安全の確保、および福祉の尊重を徹底しつつ、本人の自発的な自由意思のみに基づいた同意(インフォームドコンセント)を厳守しています。
また、当社が行うすべての臨床試験は、社内で定めた検討プロセスに従い、倫理的な妥当性と科学的な正当性を両面から検討し、実施することが適切な医学試験であることを担保しています。さらに、社外の独立した委員会(治験審査委員会/独立倫理委員会)でも、同様の内容(被験者の人権等)が審査され、承認を得た上で臨床試験が実施されます。
なお、当社では臨床試験に携わる者に対し、「GCP」と「臨床試験に関する倫理」のトレーニングを徹底しています。

  • ※5International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Useの略。医薬品規制調和国際会議
  • ※6Good Clinical Practiceの略。医薬品の臨床試験の実施の基準

・医薬品開発業務受託機関との協働

当社は臨床試験を実施するためのグローバルポリシー「Global Policy of Clinical Trials Standards」を作成しており、臨床試験に参加するすべての被験者の人権と福祉を最大限に尊重し、臨床試験の科学的に高い質と成績の信頼性ならびに倫理性を確保するとともに、GCPおよび各国の薬事規制等を遵守してすべての臨床試験を計画・実施しています。
当社が実施する臨床試験に関する業務の一部または全てを「医薬品開発業務受託機関(CRO)」に委託した場合でも、当社のグローバルポリシーが適用されます。従って、CRO選定にあたっては、業務を遂行するために必要な事項を事前調査し、評価した上で決定します。CROが業務を実施するにあたっては、当社の方針と基準に沿った業務手順に基づき、必要とされるトレーニングを実施した者による業務遂行を取り決めます。契約後もその業務状況を定期的な会議等において確認するとともに、継続的に評価し、責任を持って管理しています。

臨床試験情報の開示について

当社は幅広い関係者に対し、当社が治験依頼者として実施する臨床試験の情報を適切に開示することは重要な意義があると認識し、情報の開示を積極的に進めています。これまでに、各国の規制ならびに各業界団体から示される指針・見解に従って、臨床試験とその結果に関する情報を、ClinicalTrials.gov、EU-CTR、JapicCTI等の各種臨床試験登録サイトに登録・公開してきました。
これに加え、外部の研究者に対して臨床試験データを共有することが、医薬品への理解を深め、科学的知見をさらに広め、ひいては患者さんのための医療の発展に繋がるなど重要な意義があると考え、2016年2 月より、臨床試験データ共有ポータルClinicalStudyDataRequest.comを利用して、外部の研究者に、定められたプロセスの下、個人情報保護のために匿名化された臨床試験データを閲覧・解析する環境を提供しています。
2018年2月には、当社ウェブサイトの臨床試験情報開示ページをリニューアルし、当社の臨床試験の概要や結果にアクセスできるようになりました。また、2018年4月には、欧米で承認を取得した医薬品に加えて、日本で承認を取得した医薬品の臨床試験データ共有を開始しました。

原材料等のサプライヤーへの品質監査の実施

医薬品の品質を確保するため、計画的に国内外の原材料等のサプライヤーに対して監査を行い、必要に応じて改善状況を確認しています。監査の対象や頻度については、品質等に対するリスク評価の結果に基づいて決定しており、今後も医薬品の品質確保のために継続して監査を実施していきます。

第一三共株式会社